皆さん、こんにちは。
ふりさけ見れば、色付いた大熊の山々と、抜けるような青い空とのコントラストが、澄んだ空気の中でとりわけ美しく見えます。思わず体の中で淀んだ空気を吐き出して、つま先まで秋の空気を吸い込みます。穏やかに、しかし、アクティブなゆめの森の時が過ぎていきます。
さて、唐突ですが、大昔、NHKのど自慢のオープニングに
「ダミアがなんだ。ダミアがなんだ。最初はみんな素人だ」という曲があったと人伝に聞きました。(ダミアとは、かつて一世を風靡したフランスのシャンソン歌手。あくまでも人伝に聞いた話なので、間違っていたらごめんなさい。)
なんと威勢のいい音楽でしょう。そうです。ダミアほどのプロフェッショナルと言われる方々も所詮初めは素人です。だからこそ、恐れず私たちは挑戦しよう。そんな意味だと解釈しています。傷付きやすく、人を妬みがちだった青春時代の私、この歌詞に大いに励まされたのを覚えています。
なぜ、こんな埃被った私的な記憶の断片をここに書き連ねたかというと・・。
・・・では一緒に、ゆめの森校内を巡ってみましょう。

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本番を想定しての発表練習。

3時間目。1階創作工房がガヤガヤとしています。どうやらいくつかのグループに分かれて作戦会議を開いているようです。
「はーい。じゃあ、まずは動物班から本番と同じようにやってみようかー!」
デザイナーの提案に、きもち緊張した面持ちで数名の児童たちが、前に並びます。
そうです。明日12月2日にふたば未来学園行われる「ふるさと創造学サミット」のリハーサルが行われているようです。
「ふるさと創造学サミット」を皆さんはご存知ですか。まず「ふるさと創造学」は、福島県双葉郡8町村がともに取り組む、地域を題材にした探究的な学習です。「震災で子どもたちが得た経験を、生きる力に」との思いから、2014年度に郡山でスタートしました。地域のひと・もの・ことを題材に、自分たちで課題やテーマを設定し、情報を集め、整理・分析して考え、まとめて表現するプロセスを通して、考えを深めていきます。一人ひとりが持っている力を発揮しながら学ぶことで成長し、よりより課題の解決や、難しい課題に挑戦できるようになることを目指しています。その学習の「サミット」ですから、明日は双葉郡8町村の学校が一堂に会し、互いの地域振興に向けたアイデアを発表し共有し合うこととなります。

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各班の発表。実際にやって見えてくる課題の数々。
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お客様役の児童からは、より良くするためのアイデアが次々と飛び出す。

ご存知の通り、我がゆめの森では「野菜班」「お花班」「動物班(ペット班・家畜班)のグループに分かれ、それぞれ探求、学びを深めてまいりました。サミットでは、集まったお客様に各班の活動の動機、今までの経緯、今後の展望などを資料をまとめ発表します。また互いの活動の課題を共有する交流会も自分たちで司会進行します。ワクワクする実に楽しみな企画ですが、児童生徒の負担、重圧もなかなかなものです。それでも、それぞれの得意分野を活かし、司会する人、資料作成を担当する人、動画編集する人などに分かれ、準備を進めてきました。
今日は、仲間をお客様に見立てて、本番さながらのリハーサルです。

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「できた!」けど、これで満足?

リハーサルは、まあ、無事終了しました。見ていた児童生徒からも「よかった」「上手だった」と讃辞の声が上がります。果たしてそうだろうか。正直私は納得がいっていません。ぽつねんと座って腕を組んでいると、
さっと手が上がり、9年生が話し始めます。「良かったです。・・・けど。」
「もっとテンポが良くなったら、もっと良くなると思います。それから、iPadを見て読むだけでなく、お客様の方を見て話した方がもっと伝わると思います。」
9年生のアドバイスに、一同深く頷きます。9年生の指摘の的確さに舌を巻きながらも、私は心の中で強い賛同を感じていました。とりあえず全員で最後まで発表できたことはよかったです。しかし、お客様に興味を持ってもらい、メッセージを届けるためには、まだまだ工夫が必要です。決して満足できない内容です。
「自信をなくさないように」と、こちらが子供に気を遣い、常に「すごいえらい」では大きな成長は望めない。そう思います。「褒めて伸ばす」ことには、勿論同意ですが、至らないこと、不十分なことはお互いに指摘しあって、改善していくことで、人の力はさらに伸びていくのではないでしょうか。

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指摘、反省を生かし、さらに良くする。

そんなことを考えながら、一人ジリジリしていた私。すると、発表を終えたグループから抑えた声で話し合う声が聞こえてきます。
「やっぱ、きちんとセリフを決めなきゃあかんな。」
「お客さんに興味持ってもらうために、最初クイズ行った方が良かったんじゃん?」
「話す順番を、きちんと決めようよ。次だれ〜っていう時間がもったいなかった。」
「発表の時は、みんな画面を見ないで前を向いた方がいいよ。」
拍手をもらったものの、「このままではいけない」と彼らも感じたようです。6年生が真剣な表情で猛烈にキーボードを叩いています。うんうん。私はニヤリとしてしまいます。・・・彼らには、今まで本番同様にやってみることを促してきました。しかし「本番になればやる。」とか、「自分の番になったら、適当に上手く話す。」など、正体のない自信が故になかなかチャレンジしようとしない児童の姿もありました。でも今回実際にやってみて、上手くいかないことを痛感して、悔しくなって、ようやく「マジ」になったようです。

やってみなければ、わからない。何回も何回もやってみて、何回も何回も失敗して恥をかいて、何事も上達していくものです。失敗や一時の恥を恐れて、全てを先送りにすればいつになっても成長はありません。
今回のリハーサルで「やってみてわかることの大切さ」、「失敗するから、成功がある」ことが身に染みて理解できたものと信じています。

冒頭の「ダミアがなんだ」の歌に戻りますが、最初から何かを上手にできる人なんていません。上手にできないことが当たり前、恥でもなんでもありません。よく聞く言葉ですが「学校は間違えるところ。」
「ダミアがなんだ 初めはみんな素人だ」同様に「大人がなんだ 初めはみんな子供なんだ」。
ゆめの森みんなが、気持ちよく開き直って、失敗してほしい!・・ちょっと物騒な物言いになってしまいましたね。訂正します。
ゆめの森みんなが、気持ちよく開き直って「失敗を恐れず、挑戦してほしい。」
だって、当然みんなはまだ素人なんだから!
明日の「ふるさと創造学サミット」が楽しみです。失敗も、大成功も大歓迎!
思いっきり楽しんじゃお!!

最後に何点か今日の写真を掲載します。
ご覧ください。

[5・6年生 算数]

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大きな定規を使って何の長さを測るのでしょうか?
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体積の学習でした!次回は校内の色々なものの体積を測ります



[1年生 レベルアップの時間]

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図工と国語のレベルアップ!素材の質感を紙に写し取りました。
最後はそれぞれの活動の報告会をしました!
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なみなみ〜が映ったよ!