認定こども園と義務教育学校が一体となり、0〜15歳のシームレスな学びを目指す「学び舎 ゆめの森」。認定こども園のデザイナー(保育教諭)1年目の遠藤寧音デザイナーに、ゆめの森との出会い、大切にしている考え方、そして日々の保育について、お話をお聞きしました。
※「学び舎 ゆめの森」では保育教諭を「デザイナー」と呼んでいます。
プロフィール
遠藤 寧音デザイナー(認定こども園 4歳児担当)
福島県猪苗代町出身。保育士として働く母への憧れから、物心ついた頃から将来の夢は保育士だった。短期大学で保育教諭免許を取得後、郡山市の私立保育園に4年間勤務。ライフステージの変化を機に福島県浜通り地域へ転居し、令和7年4月、学び舎ゆめの森に着任した。現在は4歳児を担当し、インスタグラムおよびドキュメンテーションの係も担っている。休日は博物館や美術館を訪れることが好き。
母を通して夢みていた「全力で遊ぶ保育」
ー保育教諭を目指そうと思ったのは、いつ頃からだったのでしょうか。
本当に小さい頃から、将来は保育の仕事がしたいと思っていて、ずっとブレずにここまで来ました。母が保育士で、小さい頃から母の働く姿を身近で見てきたことが大きいと思います。
母は、子どもと全力で遊ぶんです。泥だらけになって、子どもたちと一緒になって本気で遊ぶ人でした。保育士は「子どもを見守る仕事」というより、「子どもと一緒に夢中になる仕事」なんだと、母を見て思い描いてきたんです。
私が生き物を大好きなのも、母の影響が大きいと思います。小さい頃から虫や生き物に触れる機会をたくさんつくってくれて、私の興味のあるものに「どんどん遊びな」と背中を押し、一緒に遊んでくれる母でした。
子どもが夢中になることに、大人も夢中になる。そんな保育の仕事がしたいと、自然に思うようになったのだと思います。

ー学び舎ゆめの森を知ったきっかけを教えてください。
テレビの夕方のニュースで、ゆめの森の「はじまりの式」(入学式)の放送を見たことがきっかけです。映っていたデザイナーも楽しそうでしたし、子どもたちもみんな笑顔で、私の知っているお式とは違うな、と固定概念が崩されるような感覚でした。
「0から15歳が共に学ぶって?」「本が2万冊あるってどういう場所?」と気になって、すぐにホームページを見て、デザイナー留学(職場体験)に応募しました。
その頃は、ライフステージの変化もあり、福島県浜通り地域で転職先を探している時期でした。前に勤めていた園でも楽しく働いていましたが、0〜2歳児のみの園だったので、4〜6歳の子どもたちとも関わり、幼児期ならではの遊びや関わりを学び直してみたいと考えていた時期でもありました。
ーデザイナー留学で、実際に学び舎ゆめの森へきて、どのような印象でしたか。
見学させていただき、子どもとも少し遊ばせていただいて、まず私自身が楽しかったことを覚えています。子どもが思い切り遊べる空間づくりになっていて、こだわりの詰まった楽しい場所だと感じました。
印象的だったのは、デザイナー同士がとても和気あいあいと話していたことです。そこに少し参加させていただいたのですが、たくさん話しているからこそ連携が取れるのだろうな、と感じました。
渡辺滝マネージャーからは、「デザイナー同士がコミュニケーションをたくさん取って、問題を小さなうちに解決していくことで、子どもとより関われる、向き合える環境をつくっている」とお聞きしました。「子どものために」という考え方が一貫していて、「ここで働きたい」と思いました。

仲間との対話があるから、保育が深まる
―実際にゆめの森で仕事をしてみて、印象的だったことはありますか。
ゆめの森は、デザイナー同士で相談しやすい雰囲気があって、やってみたいことや試してみたい関わり方について先輩や同僚のみんなに相談すると、「どんどんやってみたらいいんだよ」と言ってもらえるので、安心して子どもたちに向き合える環境だと感じています。
例えば4月に着任してから、お部屋の中で制作遊びをするのが好きで、なかなか外で遊びたがらない子が気になっていた時のこと。私は「体を思いきり動かしてほしいし、園庭の楽しさにも気づいてほしいな」と思っていました。でも、どこまで関わっていいのか、何から始めていいか不安で、先輩にその子への関わり方で試してみたいことを挙げて相談しました。すると、「全部試してみたらいいよ」と言っていただいて、4月、5月はその子へ毎日違う関わりをしてみました。
その子が好きな制作遊びと外遊びを切り離さずに、制作物を使って外で遊んでみたり、あるいは、私自身が外で思い切り楽しく遊んでいる姿を見せてみたりと、さまざまな関わりを試しました。
先輩に「こんな変化が見られました」「ここは良かったです」などと相談しながら続けていき、先輩や同僚のみんなもその子の変化を見取って、一緒に考えてくれました。そうしているうちに、その子はどんどん外遊びに積極的になり、今では外遊びが大好きで、寒い日でも外に出たがり、私を引っ張って園庭に遊びに行くまでになりました。

―やってみたいことに背中を押してもらえると、チャレンジしやすいですね。遠藤デザイナーが力を入れている取り組みはありますか。
日々、子どもたちと全力で遊ぶことです。子どもたちには、周りにあるたくさんの楽しいことに目を向けて、今だからこそできる遊びや経験を、どんどんしてほしいと思っています。
夏は、私自身が何着も着替えを持ってきて、泥だらけになって遊びます。水にも入りますし、砂場で泥をつくって全身で遊ぶこともあります。洋服が汚れることや手が汚れることを嫌がる子もいますが、「楽しいことは楽しい」と、全身で感じてほしいなと思っています。
園庭には、木も、土も、水も、虫もあって、面白いことがたくさんあります。私は特に虫が好きで、生態を知るのも、触るのも、見ているだけでも面白いと感じます。でも、それを面白いと思えるかどうかは、その遊びを経験しているかどうかも関わっていると思っていて。どう関われば「面白いことは、探さなくてもすぐそばにある」と感じてもらえるのかを、いつも考えています。
でも正直、まだ迷うことも多いです。私の「楽しい」や「好き」を押し付けていないか、今日の保育はその子に合った関わりができていたのか。日々振り返りながら、先輩や仲間たちに相談し、また次の関わりを試しています。

子どもの声を、みんなで受け止める
―「学び舎ゆめの森」だからできること、魅力を教えてください
「みんなでみんなを見る」ことを大切にしているところだと思います。
担任だけでなく、いろいろなデザイナーが子どもたちに関わっています。日々の様子、その子の好きなことや、「こんなことがあった」など些細なこともデザイナー同士で共有しています。子どもにとって、自分のことをわかってくれている大人がたくさんいることが安心につながり、それによって表現やことばがとても豊かになっているように思います。
子どもたちが「やりたい」「遊びたい」と思ったことに向かって、思いきりのめりこめる環境をデザイナーたちが支えている点も魅力だと思います。大人が用意した遊びではなく、子どもたちの「好き」や「なぜ?」から広がっていく遊びを大切に、遊びに没頭できるようサポートしていきたいです。

―これから学び舎ゆめの森デザイナー(保育教諭)を目指したい人へ、働く場としての魅力やメッセージをお願いします。
自分のことを認めてくれる環境があり、どんどんチャレンジすることができます。失敗が怖くなっても「やってみな」と背中を押してくれたり、一緒に頭を抱えて悩んでくれたりする味方がたくさんいます。
以前、耳の聞こえにくい子への関わり方で悩んだことがありました。「こうしたらいいのではないか」と一つの考えで関わろうとしていましたが、先輩たちと話す中で、いくつもの見方があることを知りました。伝え方の工夫や環境の整え方、その子の気持ちの受け止め方など、さまざまな視点を教えてもらい、自分の考えだけで決めないことの大切さを感じました。
一人で保育を抱え込むのではなく、いろいろな考えを取り入れながら、自分の保育を少しずつアップデートしていける場所だと思います。毎日葛藤や迷いもありますが、それ以上に、幸せを感じながら働けています。たくさん対話を重ねる中で、「幸せはすぐそばにある」と気づけたのは、この場所に来たからだと思います。
子どもたちと本気で向き合い続けられる今の環境に感謝しながら、これからも全力で遊び、保育を磨き続けていきたいと思っています。
(取材後記)
「ゆめの森にいると、本当にいつもルンルンなんです」と語っていた遠藤寧音デザイナー。子どもと泥だらけになって遊ぶエピソードを楽しそうに話してくれました。一方で、「この遊びはこの子に合っているのか」と自問するというお話も印象的でした。
仲間と対話を重ねながら、自分の保育を少しずつ更新していく日々。子どもの頃に夢見ていたお母様の働く姿とご自身が重なっているように感じました。これからも子どもたちと全力で遊び続ける姿を楽しみにしています。




