皆さん、こんにちは。
暦の上では、もう春。通学路には可憐な梅の花がちらほらと。
しかし、まだまだ厳しい寒さは続きます。予報では週末にかけて氷点下になる日もあるようです。どうぞ皆様、ご自愛くださいませ。

風邪などひきたくはないけれど、それでも体調を崩すこともあります。
「あれっ、ちょっと風邪気味だな・・。」
そんな時皆さんはどうしますか?
「あったかくして早く寝る。」「にんにく食べる。」「ハチミツ湯を飲む。」
人それぞれの対処法があるようです。
私の場合、絶対に風邪をひきたくない時は、用量より少し多めの薬をエナジードリンクで一気に流し込み・・・。
「は?少し多め?エナジードリンク? ダメ!!絶対!!」
薬剤師先生の大きな声が聞こえてきます。

画像
学校薬剤師飯塚さんとRデザイナー。
劇のはじまりはじまり。

本日は薬の正しい飲み方を伝えるため、学校薬剤師である飯塚先生がゆめの森にお越しくださいました。先生は2月16日の高学年向け「薬物乱用教室」に続き2回目の登場です。
さあ、本日の2時間目、特別授業の様子をのぞいてみましょう。

画像
医学、薬学を学ぶ大学生。
授業の後は、追いかけっこまでしてくれました。

「皆さん、こんにちは。今日は薬の正しい飲み方を一緒に勉強しましょう。今日は強力な助っ人も来てくれました。あちらを見てください。」
横を見れば、初々しい若者が並んでいます。どうやら学生さんのようです。
「私たちは大学で、医学、薬学を学んでいます。皆さんよろしくお願いします。」
なんと贅沢にも飯塚先生に加え、医療を学ぶ大学生が4名特別講師として来てくれています。
「今日は、正しい薬の飲み方を一緒に劇で学びましょう!」
「えっ?劇?」
1、2、3年生も、ゆめの森公演で本番を経験している児童たち。自ずとワクワクが高まります。

画像
ポーズもしっかり決めて。
みんなすっかり物語の住人。

「きゃ〜〜〜!」
突然用意された電子黒板から鋭い悲鳴が響きます。
すわや、何事かと思えば、後ろからきむじゅんの登場です。
「うはははは!姫は預かった!魔王の谷へ来るが良い!」
急遽、劇の魔王役を振られてきむじゅんもノリノリです。お芝居は、紙芝居のようにイラストが画面に映され、声優を大学生が担当する形で進行していきます。
「姫を助けるため、勇者ジョーザをみんなで呼ぼう!」
薬剤師の飯塚さんも物語に入り込み、本職の声優さんのようです。
「ジョーザー!!」
児童みんなで大きい声で呼び出します。
「はーい、みんな。僕がジョーザだよ。」
おもちゃの剣を手にした可愛い勇者の登場です。大学生が熱演しています。
勇者ジョーザのほかにも、粉薬担当のコナール、注射専門の注射衛門(ちゅうしゃえもん)、シロップ薬担当のシロッピアンなどユニークなキャラクターが続々と出てきます。
「みんなでミッションをクリアして、姫を助け出そう!」
大学生がどこまでも勇者で攻めれば、最初は「いやだー」と混ぜ返していた児童たちも、次第に声を揃えて、
「おー!」
お、物語の世界に引き込まれて来たようです。

児童たちは登場人物と共に四つのミッションに挑戦し、薬の正しい使用法を学んでいきます。なんとも魅力的な教材です。
「カプセルは水で飲んでも大丈夫なのか?」
早速与えられたミッションをみんなで考えます。
「ダメだよー!」と児童。
「どうしてダメなのかな?」と先生。
「んと、いつも水と一緒に飲めって言われるしー・・。」
「じゃあ、どうしてダメなのか実験してみよう。」
児童たちが飽きないように席に座って聞くだけでなく、ところどころ実験の時間も用意されています。

画像
ジュースで薬を飲むとどうなるの?
実験で確かめる。

席から立った児童たちが、ずらりと薬剤師さんの周りを取り囲みます。
「水でちょっとだけ濡らした指先を、カプセルにつけると・・・。」
「あ、くっついた!」「あれ、ひっついて取れないよ!」
児童たちが指を振っています。
「水を飲まないで、カプセルだけ飲んだらどうなるかな?」と先生が問えば、
「のどの中にくっついちゃう!」
なるほど、百聞は一見に如かず。この実験で水と一緒に飲むことの大切さを全員が体得します。
勇者たちからの「わかりましたか?」の問いに、
「はーい!」元気よく手をあげる児童たち。
大学生も先生もニコニコです。
他にも、「薬をお茶やジュースで飲むとどうなるか」「用法より多く薬を飲んでも良いか?」「人からもらった薬を飲んでも平気か」など、難しいミッションを実験を交えてクリアしていきます。

画像
僕たちゆめの森の「カプセリーゼ姫」

「四つのミッションをクリアして、四つの巻物を手に入れたぞ!」
大学生勇者が高らかに宣言すると、児童たちからも歓声が上がります。
「ふはははは!よくここまで辿り着いたな!」
再びきむじゅん魔王が登場です。役を与えられ、喜びが隠しきれないようです。
調子に乗ってアドリブまで飛び出しています。
「くらえー!」
勇者ジョーザの聖剣が、きむじゅん魔王を切り裂きます。
興奮抑えきれない児童が、きむじゅん魔王の鳩尾にパンチを繰り出します。
「グオーッ!やられたー!」
きむじゅん魔王がヨタヨタ退場し、救出された「カプセリーゼ姫」の登場です。
「みんな、助けてくれてありがとう。」
見ればゆめの森の養護担当Rデザイナーです。
児童たちはやんややんやの大喝采。
こうして楽しい物語は幕を閉じたのでした。
おしまい。

この物語の中に、自然治癒力という言葉が登場しました。
薬は決して万能ではない。あくまでも人間の持つ自然治癒力の「助っ人」に過ぎぬのだと。
私などは、この自然治癒力をつい軽視して、化学の力に頼りがちなきらいもあります。薬ひとつで痛みや不快が軽減されるのなら、使わなきゃ損だとばかりに、時々ドラッグストアの陳列棚であれこれ吟味し買い込みます。ビタミン剤、整腸剤、サプリメントなどなど・・。
しかし、薬剤師さんは何度も繰り返しました。
「薬は助っ人。薬を上手に用いることで、私たちがもっている自然治癒力を回復させることこそ、薬本来の役目なのだ。」と。

学校における「先生」も同様かもしれません。
「先生」ももちろん万能ではありません。使い方によっては「主作用」もあれば「副作用」もあります。
児童たちの「自然成長力」の助っ人に過ぎない私たち。悪意はなくとも、もし用法用量を誤れば、害ともなり得る・・・。
劇中、聖剣で退治された魔王の姿が、過干渉がちな自分の姿と重なって、みんなの歓声の中、一人真顔になりました。