目次
教材研究は、教材を見ることではない
~インストラクションとは何か。子どもの学びを加速させる最初の5分~
第1章では、「学習者主体の学び」をテーマに、ゆめの森が大切にしている教育についてお伝えしてきました。
第2章では、その学びを実現するために、私たち教師がどのように授業をデザインしているのかをご紹介します。
今回は、その出発点となる「教材研究」についてです。
授業は、最初の5分で決まる
「教材研究」と聞くと、
教科書を読み込むこと。
問題の解き方を考えること。
板書を準備すること。
そんなイメージをもたれる方も多いかもしれません。
もちろん、それらも大切です。
しかし、私たちが最も大切にしているのは、授業が始まって最初の5分です。
子どもたちは、
「今日は⚪︎⚪︎を勉強します。」
と言われたから学び始めるのでしょうか。
きっと、それだけではありません。
「どうしてだろう。」
「やってみたい。」
「それ、気になる。」
そんな気持ちが生まれた瞬間に、子どもたちの学びは動き始めます。
インストラクションとは、「説明」ではなく「出会い」
単元自由進度学習の1時間目を「インストラクション」と呼んでいます。
インストラクションとは、活動内容や学習の流れを説明する時間ではありません。
子どもと教材を出会わせる時間です。
「なぜ学ぶのだろう。」
「この勉強は何の役に立つのだろう。」
そんな問いが子どもの中に生まれた時、学びは「やらされるもの」から「自分で学びたいもの」へと変わっていきます。
だからこそ、私たちは授業の入り口をとても大切にしています。
教材研究は、「子ども」を研究すること
例えば、算数の「拡大図と縮図」という単元。
教科書の問題を解くことだけが目的ではありません。
「ゆめの森の持久走コースは、どうやって距離を測ったのだろう。」
「校舎の高さは、登らなくても調べることができるのだろうか。」
そんな身近な出来事から授業が始まったら、子どもたちはどう感じるでしょうか。
「やってみたい。」
「調べてみたい。」
「本当にできるのかな。」
そう思えた瞬間、拡大図や縮図は「覚える内容」ではなく、「課題を解決するための道具」へと変わります。
だから教材研究とは、教材だけを分析することではありません。
子どもは何に興味をもち、どんな問いをもち、どんな瞬間に心が動くのか。
その姿を想像しながら授業をデザインすることなのです。
最初の5分が、その後の45分を変える
授業の最初の5分は短い時間です。
しかし、その5分が、その後の40分を大きく左右します。
学ぶ意味が伝われば、
「もっと知りたい。」
「やってみたい。」
という気持ちが生まれます。
反対に、その意味が分からなければ、
「今日は何をやるの?」
「早く終わらないかな。」
という時間になってしまうこともあります。
だから私たちは、
「何を教えるか」よりも、「どう出会わせるか」
を大切にしながら授業づくりを進めています。
おわりに
子どもたちは、
「勉強しなさい。」
と言われたから学ぶのではありません。
「知りたい。」
「やってみたい。」
そう思えた時、自ら学び始めます。
そのきっかけをつくるのが、教材研究であり、授業の最初の5分です。
私たちはこれからも、一人一人の心が動き出す「出会い」を大切にしながら、子どもたちとともに学びをつくっていきたいと思います。
次回、第6話
「授業を見るとは、教師を見ることではない」
研究授業で本当に見るべきものは、教師ではありません。
子どもたちは、どんな時に目を輝かせ、どんな瞬間に学び手へと変わっていくのか。
ゆめの森が大切にしている「授業を見る視点」についてお伝えします。




