育む力 育てたい姿

第10話 「話を聞けない子」ではなく、「話を聞ける環境」をつくれているか

~子どもを変える前に、私たちにできること~

前回は、「ラポール(信頼関係)」についてお伝えしました。

安心できる関係があるからこそ、子どもは挑戦することができます。

今回は、その考え方をさらに一歩進め、「環境」に目を向けるという、ゆめの森が大切にしている視点についてお話しします。

目次

「話を聞けない子」は、本当にいるのでしょうか

授業の中で、

「話を聞きましょう。」

という言葉を耳にすることがあります。

もちろん、話を聞くことは学びを進める上で大切な力です。

しかし、私たちはこんな問いを大切にしています。

「その子は、本当に話を聞けなかったのだろうか。」

もしかすると、

話が難しかったのかもしれません。

周りの音が気になったのかもしれません。

不安な気持ちを抱えていたのかもしれません。

「聞こう」という気持ちはあっても、その環境が整っていなかっただけなのかもしれません。

だから私たちは、「話を聞けない子」と決めつけるのではなく、「安心して話を聞ける環境をつくれているだろうか」と考えるようにしています。

子どもは、一人一人違います

ゆめの森には、さまざまな子どもたちがいます。

興味のあること。

得意なこと。

苦手なこと。

安心できる関わり方。

集中しやすい環境。

一人一人が違うからこそ、同じ声掛けがすべての子どもに合うとは限りません。

ある子には、少し待つことが必要かもしれません。

ある子には、近くで一緒に考えることが安心につながるかもしれません。

またある子には、「やってみたい」と思える問いや活動との出会いが必要かもしれません。

私たちは、その子に合った関わり方を考え続けることを大切にしています。

大切なのは、「できる・できない」ではなく、「参加できること」

ゆめの森では、「みんなが同じようにできること」を目標にはしていません。

それよりも、

「一人一人が、自分らしい形で学びに参加できること」

を大切にしています。

話を聞くことは目的ではありません。

話を聞き、自分で考え、友達と対話し、新しい発見につながることが、本当の目的です。

だからこそ、子どもの姿だけを見るのではなく、その姿を支えている環境にも目を向けています。

学校全体で考え続けること

子どもたちが安心して学べる環境は、一人の先生だけでつくれるものではありません。

教職員同士が、

「この子には、どんな関わりが合っているだろう。」

「もっと安心して参加できる方法はないだろうか。」

と対話を重ねながら、一人一人に合った学びを考えています。

その積み重ねが、子どもたちの安心につながり、「やってみよう」という気持ちを育てていくと考えています。

おわりに

子どもの行動には、必ず理由があります。

だから私たちは、子どもを変えようとする前に、

「私たちにできることは何だろう。」

と問い続けます。

環境を少し変えること。

関わり方を少し変えること。

その小さな積み重ねが、子どもたち一人一人の「学びたい」「挑戦したい」という気持ちを支えていきます。

ゆめの森では、子どもを変える教育ではなく、子どもが安心して学べる環境をつくる教育を大切にしています。

次回、第11話「委ねることは、信じること」では、子どもを信じて任せることが、どのように主体性や成長につながっていくのかについてお伝えします。

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